| マンションとペットの最近の判例-- 判例にみるペット問題と、その解釈と変遷 -- |
原告:賃借人 被告:賃貸人及び賃借人Y1・Y2
(概要)都営○○アパートに居住する原告が、同アパートを設置して所有・管理する被告東京都に対して、同アパートの入居者が犬、猫等のペットを飼育することを禁止し、違反者には右禁止を守らせる措置を講ずる管理義務を負っていることの確認を求めるとともに、同被告が、ペットを飼育している入居者を取り締まらず、原告に精神的苦痛を与えたなどとして金五〇万円の損害賠償を求め、また、同アパートの原告と同じ棟(後記○号棟)に居住する被告Y1及び被告Y2に対して、同被告らが、本件アパートにおいてペットの飼育が禁止されているにもかかわらず、敢えて犬又は猫を飼育し、その犬、猫が原告方に侵入するなどした結果、原告に精神的苦痛を与えたなどとして、各金五〇万円の損害賠償を求めてたもの。
(判決)原告の請求をいずれも棄却する。
(理由)
・原告にとって、近隣で犬や猫が飼育されていることが耐え難く感じていたとしても、集合住宅における犬猫の飼育の是非について、種々の議論がある中で、原告の右のような感情に応じて、直ちに、被告東京都に本件義務が生じ、それを履行しなくてはならないものとは解することができない。
・被告Y1が猫を飼育したこと自体が、受忍限度の範囲を超えて、原告に何らかの具体的な損害を及ぼしたとの主張立証は、次に触れる本件猫が二回侵入したとの点を除いて何らされておらず、被告Y1が猫を飼育していたこと自体が原告に対する不法行為となるとすることはできない。
・被告Y2の犬が原告方に侵入したのは単なる偶然であって、被告Y2が意図したものでない事、また犬が原告方に侵入した直後に被告Y2は本件犬の名前を呼ぶなどして呼び戻そうとしており、原告方に本件犬が留まったのは原告が玄関のドアを閉めたことによるもの。原告が供述する、本件犬が原告方のカーペットを汚しその上で尿をしたとの事実がたとえあったとしても、軽微なものである上に、原告が原告方の玄関のドアを閉めて、本件犬を閉じこめなければ発生しなかったものであると考えられる。被告Y2は、原告に生じた損害に対して社会通念上必要とされる慰謝の方法を既に尽くしているものであって、これ以上に慰謝料を支払ってまで謝罪しなくてはならない損害は存在しないと認められる。
東京地裁平成一一年(ワ)第一四五九号